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 ペルシア絨毯の染めの技法

  糸に命を与える

●精錬
  
染める糸の油脂肪分や汚れを取り除く作業で染色をするための準備工程。
この作業が染料が繊維に馴染むのに重要になります。

●染色
  
糸を染料につけ、さらに媒染剤の溶液に浸します。
条件によって、この作業が何度も繰り返されることもあります。媒染剤は繊維に色を定着させる働きがあります。素材の糸や色によって、その種類は様々で、タンニン剤・アルミニウム塩・鉄分や鉱物の粉末が使用されます。どのような色に染めるかは媒染剤の選び方が重要なポイントで、染め手の経験によります。染色のなかには、染料を沸騰した液に浸ける工程もあります。この場合の温度や時間も、全て染め手の経験が左右します。

●洗い
  
染料を糸に色彩として染めるには、これだけの工程作業が必要です。染めの工程だけで一週間以上の時間を要します。最後に糸の表面に残った余分な染料を洗い落とします。
こうして一本の糸は織り手に選ばれ織られていきます。


  天然染料によって生み出された 「染色美」

ペルシア絨毯天然染料の染め上がりペルシア絨毯の持つ魅力のひとつとして、まずあげられるのはその色彩の美しさです。古来、遊牧民は自然に生息する植物や昆虫などを使い、絨毯を味わいを持つ色に染め上げてきました。現在ではすべての色を天然染料で染めるケースは極めて稀ですが、高級なものになればなるほど、その割合が高くなります。

  古来使用されていた天然染料とその色

素材名 特長と使用方法
赤・黄赤 特に重要視される緋色は茜を原料として、根を乾燥させて粉末にしたものを使用。樹齢5~7年が最良とされています。
コチニール 赤・紫 サボテンに寄生する貝殻虫の卵に含まれる色素を利用するため、雌だけが染料となります。2千年以上前から使用されています。
ロッグウッド 赤・紫・黒 豆科の植物で、木質は固く染色力は強い。
木片を口に含むだけで唾液が染まるほどといわれています。
タン皮 赤褐色・黄 大きなタンの樫の木は二重の樹皮に覆われ、外皮からは緑がかった黄色、内皮からは質の赤褐色がえられます。
紅花 赤味黄 西アジアで栽培され、その花弁に色素が含まれ、乾燥させたものを挽いたあと、苛カリなどの塩基を用いて染媒液がつくられます。
飛燕草 輝くような明るい黄色が出ます。
染め着きもよく、ムラなく均等に染色できます。
ウコン 香辛料として有名。
豊富に採れるため、ケルマンやヤズドなどでよく使われます。
ぶどうの葉 黄・黄褐色 西アジアで古くから使用されている染料。
明るい緑がかった黄色に染まります。
アザリン 薄黄 木材が普及する以前重要な染料のひとつでした。
種がまだ赤いうちに花弁を切り取り、乾燥させて使用します。
青の染料に適した植物は世界的に稀少。
ほとんどインド藍を使用するが、深い青を出すには乾燥して液に浸す作業を繰り返します。

*これらの素材を使った染色工程では、色止めとしてレモン、ぶどうの実、バーベリー(メギの実)などの酸味の強い果実から絞った液を使用

化学染料の発明が絨毯づくりにも変化をもたらしました

1856年、イギリスで合成染料(アニリン染料)がつくられ、手軽なためシルクロードの絨毯に急速に普及しました。繊細な色も表現されず、色も褪せやすいため1890年質の低下を恐れ、使用を全面的に禁止されました。もちろん現在用いられているクローム系染料は品質も向上し、アニリン染料に比べ高価なもので、比較的退色もしにくくなっています。

  色彩によって表現される、絨毯のもつさまざまな意味

      「空や海の色」で天国の色とされ「真実」を意味するといわれています。
      「太陽の色」 「健康と喜び」を表します。
     ローズピンク  「知恵」を表す色といわれ、「神の英知」を意味します。
     オレンジ  「大地の色」で「信仰心」と「愛国心」を表す色といわれています。
      「慈しみ」と「平穏」を表す色とされています。
      「マホメッド」の旗の色、予言者の上着に使われる色で「不滅」を意味。


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